――ご自身が演じられたキャラクターのご感想をお願いします。

斉藤）ラムダンの思いに寄り添うことが声優として大事なことだとは思いつつ、斉藤壮馬としては、ラムダンはもう少し素直になってもいいんじゃないかなっていう気持ちもありました。ラムダンがウルジのことを想っていることはアリアナでさえも気付いているわけじゃないですか。でもラムダン本人としては「俺はあいつが憎いんだ」って自分の想いを自分の言葉で縛り付けているような状態で、そのもどかしさがラムダンの苦しみでもあり、いじらしい部分でもあり…。ララを見つけなきゃという気持ちはありつつも、どこかでウルジから逃げたいっていう気持ちもあったんじゃないのかなって思います。スパダリなあのウルジが、「お前を愛して欲をかいた」って素直に謝るシーンは原作でも素敵に描かれていましたが、そんなウルジの一途な想いをラムダンが感じて、自分の想いに素直になれたので本当に良かったなと思いました。ラムダンはこの経験を経てまた1つ前進したと思うので、この先どういう風に変化していくのかすごく楽しみです。

江口）ウルジはラムダンへの一途な想いが最初から変わらず一貫していて、ブレない男だなって思いました。それに、一方的な愛の押し付けではダメだからラムダンの気持ちにちゃんと寄り添わないといけないということに気づいたことは、人の器として1つ大きくなった気がします。ずーっと一方的なままだとやっぱり違うってことになるので…。また、ラムダンにそういう気持ちをしっかり伝えて受け入れてもらえたのは、本当に良かったですよね。ウルジの人間としての成長を感じました。

長谷川）原作を読んでいてもためこう先生のイラストはとても綺麗で、その中でもラムダンとララは特に美しいなって思っていました。でもそんな可憐な見た目とは違い、ララはけっこう大胆で強気でしっかりしていて。そんな見た目と中身のギャップが私は好きでしたね。

西山）守ってあげたくなるような女の子に惚れるというより、たくましいと言いますか自分をしっかり持っている女の子に惹かれることはあるよなって、ロサンに共感できました。暮らしのために頑張ってるララの姿に一目惚れしたんだろうと思います。ロサンが誠実で真っすぐなゆえに今回のようなことを引き起こしてしまったんだと思うと、ロサンの人間味を感じられて面白かったです。

福山）前回は、家のことや弟のことを考えて、わざと意地悪じゃないですけどちょっと露悪的に振舞っていたバドマでしたが、今回は娼館管理人ジャルガルさんという仮の姿での登場だったので、実家にいた時よりも解き放たれている気がしました。ウルジとラムダンの状況も薄々察してニヤニヤしてたんじゃないかと。前回の罪滅ぼしではないですが、ラムダンに居場所を提供してあげたり、ララの情報を集めてあげようとしたり、ウルジの状況をトーマーに探らせたりして、二人をさりげなくサポートしている感じがとても楽しかったです。バドマは実家にいるよりも外でこういう活動をしている方が好きなんじゃないかなと思いました。

――お気に入りのシーンや聴き所を教えてください。

斉藤）ラムダンからするといつも余裕があって威厳のあるウルジが、むき出しの感情で「お前を愛して欲をかいた」って言ってくれたのは、とても大きいことだったかと思うので、その一連の流れが聴き所ですかね。あと、個人的にはアリアナのくだりも好きです。途中まで強引に押し切ろうとしているようにも見えるじゃないですか。だけど最後の最後で身を引くという…。ウルジからもらった人形をいつまでも持っていちゃ駄目だよねって言ったら、侍女さんが繕えばもっと素敵なものになりますよって言うところは、思いを持ち続けることは悪いってことじゃなく、思いの形を変えればまた次に繋がっていくということだと僕は感じたので、アリアナと侍女のシーンはすごく素敵だなと思いました。

江口）ラムダンが娼館で生活をしながら適応していくシーンですかね。みんなと心が通じて信頼を得ていく様に人間としての魅力を感じて、ウルジの見る目に間違いはなかったなって。たとえ何かの時空のゆがみでウルジが来られなかった未来があったとしても、ラムダンは自分でいろいろ選択しながら強く凛と生きていけるんだろうなって、そういう人だからこそ傍に居たい、一緒に生きていきたいって気持ちになるんだろうなって思いましたね。

長谷川）ララの登場シーンです。窓からバーンって入ってきてウルジを平手打ち、そして胸ぐらを掴むという、すごいコンボですよね。可憐な見た目と中身のギャップがたまらず、こういう女の子にはグッとくるなって思いながら楽しくやらせていただきました。とても好きなシーンです。この作品では、ラムダンとララの兄妹愛っていうのが素敵だなって思っていますが、このララとウルジの口論シーンでも、ラムダンに対するララの想いが見えたので好きです。

西山）ララの登場シーンですかね。ララの、可愛いのに強いところが聴いて欲しいポイントでもありますね。ララとロサンの日常的なやりとりも今後見ていきたいなって思わせてくれる、二人のシーンも楽しんで聴いていただけると嬉しいです。あと回想シーンでウルジとロサンの友情、関係値が分かるやり取りも好きです。

福山）ララも登場して本筋はどうなるの？という部分や、メイン2人の関係性が動く部分はもちろんですが、バドマが、ラムダンに淡い恋心を持っているトーマーをニヤニヤしながら利用するシーンや、落ち込んでいるラムダンの気持ちを上向きにするため娼婦たちに面倒を頼むシーンなどが好きなので、そういうところも楽しんでいただけたら嬉しいです。

――ウルジは「お前を愛して欲をかいた」とラムダンを愛しているからこその過ちを悔いていましたが、好きすぎるがゆえにしてしまった失敗や反省があれば教えてください。

斉藤）あれは小学校3年生の時でした、僕は子供の頃から好きな食べ物がハッキリしていて、ラーメンとかお寿司とかは今でも好きなんですけど、その中の1つに唐揚げがありました。今日の夜何食べたい？とか、お弁当のおかずは何がいい？って聞かれたら唐揚げは入れてくれ、みたいな。なので、誕生日とか、運動会とか、ちょっとお祝い的なときは唐揚げを作ってもらってたんですけど、ある時、体が痒くて鏡を見たら湿疹がでてまして。唐揚げを、気持ち的には無限に受け止めてあげるって思ってたんですけど、カラダ的には耐え切れなくなってもうこれ以上は無理だっていう状態に…。そのときに愛って難しいんだって思いました。いまだに唐揚げは好きなんですけど、子供のときみたいに無尽蔵に食べたりはしなくなりました。でもその時の自分に会ったら「それでいいよ」っていうと思います。愛ゆえに。

江口）中学2年生の頃かな？ 僕、田舎に住んでたので、車じゃないと開けた場所というか街に行けなかったんですよ。中学生の時ゲームが好き過ぎてゲームさえあれば生きていける、今後の人生は安泰だって思ってて。親の買い物についていったときに、一人で中古ゲームショップに行ったんですが、そこにはたくさんのゲームが並んでて。これが欲しいあれが欲しい、でもお小遣いの中で買わなきゃって思いながら見ていたらあっという間に時間が経ってしまって。段々トイレ行きてたくなって、これ以上見てるとヤバイって気持ちがあるんですけど、まだ見たい、トイレ行きたい、でも見たい、がどんどんどんどん加速して「あ、ヤバイ」って店を出た瞬間におもらししてしまったんです。ビショビショになったズボンでトボトボ車に戻ったら、母親から「どうしたの？」って聞かれて、「ゲーム見過ぎてトイレ行くの忘れた」って言ったら、一緒にきていた妹にもゲラゲラ笑われたっていう苦い思い出がありますね。そんだけゲームが好きだったんですけど、好きすぎてやりすぎたせいか高校の時にピタリとやらなくなって、もう俺の人生終わったなと思ってたんです。で、やりたいことがなくなったときに声優って。その時まだゲームが好きだったら声優やってないですよ（笑）。

長谷川）小学生の時、梅干しと茎わかめがめちゃくちゃ好きで毎日毎日食べてたんです。でもある日を境に気持ち悪くなっちゃって一切食べられなくなくなりました。今は食べられなくはないですけどほぼ摂取してないです。度を超えて大量に摂取しすぎちゃうと気持ち悪くなって、突然、嫌いな食べ物になっちゃうという…。好きなものが嫌いなものになってしまう切なさを知り、摂取しすぎるのやめようって思いました（笑）。

西山）今日は塗ってないんですけど、ネイルするのが好きで自分で塗るんですよ。珍しいのか店員さんとかに「爪素敵ですね」みたいに話しかけられることがあるんですが、好きすぎて、「これ、どこのなんですよ」「このトップコートめちゃくちゃお勧めです」みたいなことを言ったら、ちょっと引かれて…。そりゃそうだよな、そこまで求めてないよな、みたいな。好きゆえに周りが見えなくなってグイグイ話しちゃうという…、しゃべりすぎるのも良くないなって思いましたね。好きだとつい教えたくなっちゃいますが、ほどほどにします。

福山）好きになると人であれ物であれ、とことんハマっちゃう傾向にあるもので、小・中学校のときなんかは、好きな子をイジメるというか弄るってあるじゃないですか、それが行き過ぎてまったくもって恋愛に発展できなかったです。他には服とか好きなんですけど、つい買いすぎちゃうんですよね。それをやめようと思いつつ十数年、やっとその物欲を多少抑えることができるようになりました。でも、前回の「ララの結婚２」を収録したあたりからスニーカーを買い始めまして、それまでは全然買ってなかったのに、今回の収録までの間に60足という訳のわからない数を買っちゃいました。収納できなくなったのでもう買ってないんですけど…。もともと持っていた革靴などもあるので、靴だらけになりました。物欲を抑えることはなかなかできないんですが、最近は生活を圧迫しないように、服も靴も収納できる分だけしか持たないようにしてます（笑）。

――最後にドラマCDの発売を楽しみに待っているファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。

斉藤）今回もラムダンをやらせていただき感謝しております。今までに比べると、ラムダンの台詞は一番少ない気がしますが、その分、他のキャラクターの熱のこもった芝居をじっくり体感できました。物語が多角的に構成されているので、丁寧につくられた原作が最終的に音声としてどのように仕上がっているか、一声優としても、一読者としても非常に楽しみです。原作も続いていることですし、この先どんな物語が待っているのか僕自身楽しみなので、原作ともども楽しんでいただけると嬉しいです。またララの世界で皆さんと出会える日を楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

江口）皆さんからしたらお久し振りかとは思いますが、僕の中では久しぶりの感じはあんまりなくて、またこうしてウルジをやることができて嬉しいです。前回、ラムダンとウルジの行く末が気になっていた方々にも、今回はホッとできる内容になっていますし、僕たちも感情のこもったものが出せたと思っているので、ぜひ期待して聴いていただけましたら。今後とも応援よろしくお願いします。

長谷川） 「ララの結婚」シリーズには毎回出させていただき、いつも嬉しいな、ありがたいなと思いながら収録させていただいてます。前回、とても気になるところで終わっていたので、今回、台本いただいたときは「続きが来た！」とワクワクしながらチェックさせていただきました。私は音声系を聴く時は寝る準備をしっかりやって、部屋の電気を消して、布団に入って集中して聴くんですけど、ぜひ皆さんも自分の集中しやすいスタイルで、「ララの結婚」の世界観にどっぷり浸ってもらえたらなと思います。お楽しみに。

西山）ロサンやララのことも含め、新たに明かされる関係や内容など聴きどころ満載なので、そういったところも楽しんでいただきつつ、メインのウルジとラムダンの気持ちが通じ合うシーンにきゅんとしていただけましたら。原作も続いておりますので今後の展開に期待しつつ、CDは長谷川さんがおっしゃったように、どっぷりと浸って聴いていただければ嬉しいです。今後も応援よろしくお願いします。

福山）皆さまにとっては「ララの結婚」はお久しぶりになるかと思いますが、今回もたいへん楽しく収録させていただきました。ま、ウルジが若干ねじ曲がっているので、ラムダンもいろいろありましたが、ひとつ問題を乗り越えたのかな？と思いますし、バドマの方も裏稼業をお披露目できましたし、素敵に仕上がっているかと思いますので、あますことなく楽しんでいただけましたら幸いです。